ポリモーダル受容器は、体内に存在する特殊な神経受容器で、さまざまな種類の刺激に反応します。この受容器は、温度、圧力、化学物質などの異なる刺激を感知することができ、主に皮膚、筋肉、内臓などに存在しています。

1. 刺激の検出: はりを刺すことで、皮膚や筋肉のポリモーダル受容器が刺激されます。この受容器は刺激を検出し、その情報を神経を通じて脳に送ります。

2. 神経経路の活性化: 刺激されたポリモーダル受容器は、痛みのシグナルを脳に送る神経経路を活性化します。同時に、これらの経路を通じて鎮痛物質の放出も促進されます。

オピオイドシステムは、体内の自然な鎮痛機構です。エンドルフィンやエンケファリンなどの内因性オピオイドと、それに結合するオピオイド受容体から成り立っています。

1. 内因性オピオイドの放出: 鍼刺激によって、脳や脊髄から内因性オピオイドが放出されます。これらの物質は、体内で自然に作られる鎮痛物質であり、モルヒネのような外部からの薬と同様の効果を持ちます。

2. オピオイド受容体の活性化: 内因性オピオイドは、神経細胞の表面にあるオピオイド受容体に結合します。これにより、痛みのシグナルが脳に届くのを遮断し、痛みの感じ方を軽減します。

3. シグナル伝達の抑制: オピオイド受容体が活性化されると、痛みのシグナルの伝達が抑制されます。この結果、痛みが和らぎ、リラックス効果が生まれます。

鍼治療は、これらのメカニズムを通じて、痛みの緩和や体調の改善に寄与します。具体的には、以下のような作用があります。

• エンドルフィンの分泌促進: 鍼治療は、体内でエンドルフィンの分泌を促し、自然な鎮痛効果を高めます。

• 神経伝達の調整: 鍼による刺激は、神経伝達物質のバランスを調整し、痛みのシグナルを適切にコントロールします。

• ストレス緩和: オピオイドシステムの活性化により、ストレスホルモンの分泌が抑制され、リラックス効果が得られます。

これらのメカニズムにより、鍼治療は多くの患者さんにとって効果的な痛みの管理手段として機能しています。痛みの緩和や健康の改善に興味がある方は、鍼治療をぜひ試してみてください。